こんにちは。技術室の福田耕平です。今回は、築30年以上の木造住宅の断熱性能についてお話しさせていただきます。
築30年以上の木造住宅の断熱の3タイプ
中古住宅のリノベーションを検討されている方にとって、古い木造住宅の断熱性能が実際どの程度なのかは、気になるところだと思います。
木造住宅の断熱の水準と施工方法は、ここ20〜30年ほどの間に急速に洗練されてきました。
I.D.WORKSがリノベーションしてきた住宅を断熱性能で分けると、山口県内では概ね次の3タイプになると考えています。
| タイプ | 主な年代 | 天井 | 壁 | 床 | 気密・防湿 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 土塗壁型 | 〜1980年頃 | 断熱材なし | 土塗壁(断熱材なし) | 断熱材なし | なし |
| ② 無断熱型 | 1970〜1980年頃 | 断熱材なし | 断熱材なし | 断熱材なし | なし |
| ③ 初期断熱型 | 1980〜1992年頃 | なし、またはグラスウール40〜80mm程度 | グラスウール40〜50mm程度 | なし、または発泡ポリエチレン30mm程度 | なし、または精度が低い |
窓は、いずれのタイプもアルミサッシの単板ガラスです。
いずれのタイプも、国の省エネ基準(断熱等級4)に大きく届かない水準です。
この基準は、山口市を含む6地域ではUA値(外皮の面積あたりの熱の逃げやすさ。小さいほど高性能です)0.87で、2025年4月からすべての新築住宅に義務付けられた最低ラインにあたります。



山口県内に多い土塗壁型
I.D.WORKSの施工実績では、タイプ①の土塗壁型が最も多いです。
山口県には土塗壁の木造住宅が多く残っていますが、土塗壁そのものに断熱性はほとんどないため、無断熱と考えてよいです。
一方で、タイプ②の土塗壁のない無断熱型は、山口県内では不思議と少ない印象です。
夏暑く冬寒い原因
古い木造住宅が夏暑く冬寒い原因は、断熱材の有無だけではありません。
- 気流止めがない:当時は気流止め(床下や小屋裏から壁の中へ空気が流れ込むのを止める部材)を意識した施工がされておらず、床下から壁の中に入り込む空気が多いため、冬の隙間風が気になります。
- 施工の精度:1980年頃以降は薄めの断熱材が入った住宅が主流になりますが、固定の方法や隙間なく入れる点で精度が低く、計算上の性能は発揮できていない印象です。感覚的には、1990年代から徐々に適切な施工のものが多くなります。
土塗壁の家の断熱方法
土塗壁は、地震や強風に抵抗する耐力壁でもあるため、自由に撤去できるわけではありません。
そのため、土塗壁を残したままどのように断熱するかに工夫が必要です。
理想を言えば、外壁の仕上げを撤去して、土塗壁の屋外側に断熱する「外断熱」にしたいところです。
ただ、外壁の仕上げを更新することになるため、相当な工事費がかかります。
そこで外装仕上げの更新まで行わない場合は、土塗壁の屋内側にポリスチレンフォーム30mm程度の断熱層を新設する方法をとっています。

土塗壁のない家なら壁も新築と同様の方法で断熱でき、天井・床・窓を含めた改修の標準的な内容は次の記事でお話しします。
I.D.WORKSでは、建物のタイプに応じて、予算と費用対効果を考えた断熱性能の向上をご提案させていただいています。
ご自宅がどのタイプにあたるかは、築年数や住まいの様子をお聞かせいただくところからご相談に応じています。