防府市の新築住宅「黒塀の家」
WORKS

黒塀の家

通りには黒い塀を、内には空をひらく。願いをひとつに束ねた、中庭の平屋。

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  • 防府市
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THIS HOUSE’S ID

この家の“ID” ―
望んだ暮らし

家は、落ち着く居場所であってほしい。ご主人がまず挙げてくださったのは、間取りでも設備でもなく、その一言でした。家にいて自然に会話が生まれ、「いて落ち着くよね」と思える暮らし。

奥様の願いは、お母様と一緒に住んで、みんなで仲良く暮らせること。そして、飼っている猫が少しだけ外で遊べる小さな庭。敷地は奥様のご実家があった場所で、相続した空き家の建て替え計画でした。昔、台風のときに浸水したことがあり、「またそれが起こるのは嫌だ」という思いが、この土地でのいちばん大きな心配ごとでした。

共働きで家事を分担するから、家事動線のいい家に。お母様との二世帯になるから、お互いのプライベートは確保したい。お母様からの条件は「トイレだけは二つ欲しい」。——ご要望は、ひとつの完成されたイメージとしてではなく、ひとつずつの悩みとして届きました。落ち着く居場所。母との暮らし。猫の遊び場。水への備え。家事動線。ほどよい距離。ばらばらに置かれたその願いを、どうひとつの家にまとめるか。それが、この家の出発点です。

I.D.WORKSを知っていただいたきっかけは、歩いてすぐのところに住む奥様の幼馴染のご紹介でした。最初の打ち合わせで話したのは、どんな家をつくるかより先に、お金のこと。ご夫婦がいちばん気にされていたのが金銭面だったからです。

防府市の新築住宅「黒塀の家」
猫が走り回り、料理を運んで食べる。囲まれているから、気兼ねがいらない
AROUND THE COURT 中庭が、光と風の通り道に 断面 平面 冬の太陽 高度30° 冬の太陽 夏の太陽 高度71° 夏の太陽 風の抜け LDK WIC 中庭 LDK 共用水回り 親世帯 WIC 子世帯 玄関 中庭 1 1 2 3
1LDK端のスリット窓から入った風は、リビングを横切り、中庭を通って空へ抜ける。夜は、こもった熱の出口になる。
2中庭をぐるりと回る廊下。行き止まりがなく、親世帯と子世帯のあいだに、ほどよい距離が生まれる。
3夏の昼の風は、南東の通り側から。中庭側の窓は通りから見えないので、風の通り道として開け放せる。
READING THE DESIGN

この空間の、見えない設計

I.D.WORKSが住まいを考えるときの視点は、二つあります。人を読む「LIFE ID」と、土地を読む「BCID」。それぞれライフIDデザイン、バイオクライマティックIDデザインという方法です。この家を、その二つの視点であらためて読み解いてみます。

土地を読む — 平屋のまま、高さをつくる

ご主人のご実家が二階建てだったこともあり、当初は「水に備えるなら二階建て」と考えておられました。けれど、この敷地には広さがあります。せっかくの敷地なら平屋にしてはどうか——ご提案したのは、平屋のまま床に段差をつけて高さを出すという考え方でした。過去に浸水したという土地の記憶を、階数ではなく断面(床の高さのとり方)で受けとめる——そんな考え方からの提案でした。

人を読む — 中庭が、距離を調節する

もうひとつの提案が、中庭でした。猫が走り回れる庭。ご夫婦とお母様の、近すぎず遠すぎない距離。どこにいても家族の気配が届く、落ち着く居場所。ばらばらに届いた願いは、ひとつずつ別々に解くのではなく、中庭を囲むという一つの配置のなかで連動して解けていきました。子ども部屋は別の領域に見立てています。目線が変わることで、ひと続きの平屋に広がりと落ち着きが生まれました。廊下は行き止まりのない回遊式。穏やかな光に照らされた道が、家事の動線と、家族それぞれの居場所をつないでいます。

外に対しては、通りに向けて黒い焼杉(表面を焼いた杉板)の壁を立てました。内に向かってひらき、外に向かって静かに閉じる。敷地の内側に、自分たちの景色をつくる構えです。

ここに書いた読み解きは、竣工後にあらためて整理したものです。LIFE ID・BCIDそれぞれの進め方の詳細は、各ページでご紹介しています。

防府市の新築住宅「黒塀の家」
A木毛セメント板の天井と、彩度を抑えた壁。仕上げのトーンを落として、中庭の緑と空を主役にする。
Bデッキ面 +600mm の腰掛けられる高さに設計した、幅広の縁側状の廊下。
C四季を感じられる中庭越しに、親世帯と子世帯の目線が交錯する。ひらくのは、通りではなく内側へ。
DESIGN POINTS

設計のポイント

POINT 1

中庭を囲む、ロの字の平屋

猫の遊び場も、お母様とのほどよい距離も、落ち着く居場所も。ひとつずつ届いた願いを別々に解くのではなく、中庭を囲むロの字の平屋という一つの配置にまとめました。中庭を介して、部屋と部屋、家族と家族がつながります。廊下は回遊式で、どこへ行くにも行き止まりがありません。

POINT 2

床に段差をつくり、平屋のまま高さを出す

当初は二階建ても検討されていましたが、敷地の広さを活かして平屋を提案しました。平屋のまま床に段差をつけ、高さを出す。土地の記憶を、階数ではなくかたちで受けとめる——そんな考え方からの提案です。

POINT 3

通りには閉じ、内へひらく黒い壁

外壁には焼杉を使いました。通りに向かっては黒く静かに閉じ、内側の中庭に向かって大きくひらく。夜はライトアップされた中庭が、家の中心に浮かび上がります。

POINT 4

ベンチにもなる、テレビボード

テレビボードは、腰かけられる高さに。人がたくさん集まったときには、そのままベンチになります。床の段差も同じで、お子様は教わらなくても、そこにちょこんと腰かけています。家具や段差を「座れる場所」として設計しておくと、暮らしの中で使い道が増えていきます。

AFTER TWO YEARS

住んでみて ― お客様の声

暮らし始めて2年。ご夫婦に、いまの暮らしを伺いました。

猫の遊び場も、母とのほどよい距離も、落ち着く居場所も——ひとつずつ伝えた悩みが、「中庭のある平屋」という提案でうまく連動して解決していったんです。

― ご主人

夜、子どもを寝かしつけてソファに座っていると、母が出てきたり、子どもが起きてきたり、それが全部見えるのが幸せですね。「みんな生きているな」と思います。

― 奥様

猫は中庭を走り回っていますし、つくった料理を中庭で食べたりもします。うどんとか(笑)。寒い中で飲むコーヒーもいいですし、星がきれいなので、寝転がって星を見ることもあります。

― ご主人

このお住まいには、ご家族に暮らしぶりを伺ったインタビューがあります。

DATA

この家のデータ

所在地防府市
種別新築住宅
竣工2024年2月

来店ご予約・ご相談

「まだ何も決まっていない」という段階からのご相談も歓迎です。
いまの検討の段階に合わせて、ちょうどよい方法をお選びください。

083-929-3960

営業時間 9:00~18:00 | 水曜日・祝日定休

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