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I.D.Worksの日々を綴ったブログです。

I.D.Worksの住宅「マチトイエノマ/ New Normal Life」が2021年度グッドデザイン賞を受賞しました

日々

こんにちは。
お知らせ/Newsでご案内させていただいたように、モデルハウス「マチトイエノマ/ New Normal Life」が2021年度のグッドデザイン賞に選ばれました。
関わって下さったすべての方と日頃から応援いただいている皆様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

完成したばかりの頃、家への思いを少し書かせていただきましたが、その視点を評価していただけたことがとても嬉しいです。

2020年10月11日 news 「モデルハウス完成見学会 ご来場ありがとうございました。

 

 

 

たったひとつの出来事で、いとも簡単に価値観や日常が揺らいでしまうことを世界が経験している今。
家に求められていることはなんだろうという問いから「マチトイエノマ/ New Normal Life」は生まれました。

 

注文住宅はお施主様ひとりひとりの想いをかたちにしていくもの。
対してモデルハウスは、未来の住まい手の居心地を想像しながら暮らしを提案する場だと私たちは考えています。

そこにひと筋の光を見つけ、日頃思っていることを伝えられるのではないかと計画がスタートしました。

 

また今年のグッドデザイン賞が掲げるテーマは「希求と交動」。
そしてフォーカス・イシューのテーマは「“その先”を見つめる、デザイン視点(完成しないデザイン/将来世代とつくるデザイン/時間がかかるデザイン/まなざしを生むデザイン/共生のためのデザイン)」です。
ここにも大きな共感と挑戦の気持ちを抱き、応募させていただく運びとなりました。

 

 

 

まずは「マチトイエノマ/ New Normal Life」の公式概要をご紹介させていただきます。

 

〇 設計意図
「地域にとっての住まい」と「家族にとっての住まい」を共存させた住宅である。
ダイニングキッチンを地域に開くことで、地域住民との交流が自然と生まれ、コミュニティとの日常的な関わりが保てると同時に、家族が落ち着いて暮らせるよう、 中庭を介してパブリックとプライベートとの間(ま)を図れるようにしている。

 

〇 デザインが生まれた理由 / 背景
地域内のコミュニケーションが希薄化したと言われて久しい昨今だが、食を絡めて人を家に招くケースはよくある。
それを考えるとダイニングキッチンは、コミュニケーション上とても重要な場所であり、パブリック性が高い場所であるとも言える。それ活かし地域にも開放することができれば、地域住民との交流が自然と芽生え、コミュニティ形成の一助になると考えた。
一方で、家族の器でもある住宅は、程よいプライバシーが保たれることで落ち着きや安心感が得られる側面もある。住まい手にとってパブリックとプライベートのバランスが取れていることが長期的に円滑なコミュニティの形成に繋がると考え、それが可能な住まいの形を計画した。

 

〇 デザインを実現した経緯とその成果
ダイニングキッチンはパブリックゾーンと考え、庭や土間を介して街に開くことができ、ご近所さんとの食を絡めた交流が可能にした。
中庭は、家族だけでなく来訪した人にとっても居心地のいい空間とすることで、そこで生れるコミュニティが習慣化され長期的に持続可能になると考えた。プライバシーも保てるよう格子戸の開閉により、地域内でのつかず離れずの程よい距離感が保てるようにした。
リビングは中庭を介してダイニングキッチンと間をとり、来訪時でも家族にとって落着きが得られるようにした。
また、 床を1段下げて目線を庭に近づけ空間の重心を低くすることで、ダイニングキッチンとの変化を与え、パブリック空間とプライベート空間とのメリハリをつけた。敷地内に植えられた柔らかな樹形の木々も、中庭を含めその枝葉の重なりにより、街と家との間(ま)を造くる役目を果たしている。

 

 

 

審査委員の藤原徹平さん、網野禎昭さん、千葉学さん、手塚 由比さんからは「さまざまな住み開きの可能性」と評価していただいたのですが、まさにこの家の姿勢を現す言葉です。

 

“「私」が少しひらくことによる、小さな「公」の場。「住み開き」は、自分の日常生活の中で区切られてしまっている様々な役割――仕事、学業、家事、趣味――といったものを再構築し、人間同士の関係性を限りなくフラットに再構築する。”

“無理せず自分のできる範囲で自分の好きなことをきっかけにちょっとだけ自宅を開いていること。・・・そこでは無論、金の縁ではなく、血縁でもなく、もはや地縁でも会社の縁でもない、それらが有機的に絡み合う「第三の縁」が結ばれるのだ。”

(アサダワタル 2012年『住み開き 家から始めるコミュニティ』筑摩書房)

 

文化活動家アサダワタルさんの提唱で広く語られるようになった「住み開き」。

これに近い文化は日本における家の変遷からも読みとることができ、古くから私たちの生活に根付いていた背景があると言えます。

親戚や友人、近所の方が訪ねてきたときには客間や縁側、土間に招き、お茶や食事を楽しみながらお喋りをしたり、地域の人が集まる場として自宅を開放し、そのまま宴や民泊のような使い方をするケースもありますね。
最近ではルームシェアやシェアハウス、SOHO、コモンスペースなど、個人空間に紐づける在り方もよく目にするようになりました。

 

 

 

つまり家は家族のものだけではなく、時にみんなで楽しみ、コミュニティを育む場になるということ。
古来の大家族的な生活、地域と共存しながら暮らす姿に再び立ち返っているのは、人間関係が希薄化する現状への反動ではないでしょうか。

世の中の向き合うべき課題、痛ましいニュースを知るたび、その根底にあるのは孤立や孤独の感覚だと感じます。
だからこそ家が他者とつながる場として機能することは、時に心を健やかに保つシェルターになり、共生のためのセーフティーネットを担えると信じ取り組んでいきたいです。

 

現実社会もネット社会も、コミュニティがさまざまな意味と役割をもち、常に変化しているこの時代に。
パブリックとプライベートの心地よさを見つめた「マチトイエノマ/ New Normal Life」の在り方が、ひとつの新しい定番として受け入れてもらえたらと希い(こいねがい)ます。

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