大雪に見舞われた年明けからめまぐるしい年度末を乗り切り、気が付けば初夏と梅雨の季節。
前回のオープンからなんと半年も(!)時間が経ってしまいましたが、今回のID食堂は季節のお支度をお届けします。
きっかけは山口市黄金町にある新社屋予定地。
実はこの敷地内には、様々な年代の建物がたくさん残されているのですが、お庭と畑も本当に素敵なのです。
初めて足を踏み入れたのは1年ほど前のことなのですが、季節の移り変わりを丁寧に伝えてくれる豊かな環境に驚かされるとともに、日に日に愛着が深まっています。
過去のstaff blogには少しだけお庭環境について書いています。
2021年5月7日「新社屋予定地のあわいの風景」
そんなある日のこと。
いつものように敷地を散策していると、足元にちいさな実がいくつか転がっていることに気づきました。
見上げた枝の先には綺麗なエメラルド色の実!
まさかこんなにもしっかり実をつけているなんて思いもしませんでした。
数日後再び訪れてみると、しっかり大きくなっている姿に思わず口元がほころびます。
お日様を浴びてほんのり紅く色づいている実もあり、そろそろ収穫のタイミングかも!と急いで収穫準備にとりかかりました。
意気揚々と持ち帰った小梅たち。
せっかくなら梅酒も……と欲張りそうになりましたが、収穫した量を考えて、簡単でやさしい梅シロップに挑戦することに。
いろんな作り方がありますが、今回はスタッフそれぞれの方法を出し合いながら作っていきました。
・今日の献立・
◇自家製シロップの梅ジュース
■梅仕事、ことはじめ。
まずは保存瓶の準備から。
沸騰したお湯を急にかけるとガラス瓶が割れてしまう可能性があるので、60℃くらいのお湯で温め慣らしてから熱湯を注ぎ消毒しました。
よく乾かした後は、度の強い焼酎やホワイトリカー、食品用アルコールでしっかり拭いておくとなお安心です。
ここからは梅の仕込み。
竹串などを使って梅のヘタを取り除いていきます。
ぷつっと勢いよく取れて楽しい作業です。
傷んでいる梅、虫に食べられている梅などを選別し、お水で洗っていきます。
清潔な布巾やタオル、キッチンペーパーで拭き取ります。
少しでも水気が残っているカビてしまう原因になるので、ひとつずつ丁寧に。
採れたての光る産毛も綺麗でしたが、下処理を終えた後の姿も飴玉のように艶々で可愛らしいです。
梅:氷砂糖=1:1になるように分量を計ります。
他の砂糖でも作ることができますが、純度の高い氷砂糖だと梅の風味が引き立ってすっきり美味しいシロップに仕上がりますよ。
梅の酸は強いため、金物の道具を傷めてしまう場合があり避けた方が良いようです。
おすすめは琺瑯やガラス、プラスチックなどですが、今回は適した受け皿がなかったためバットにキッチンペーパーを敷いて作業をしました。
さあ、梅シロップをつくる準備が整いましたよ。
ここまでできたらあとは簡単。
梅と氷砂糖を交互に瓶に詰めるだけです。
全部詰め終えたらぴったり蓋をして冷暗所へ。
仕上げにお酢を少し入れても良いですし、リンゴ酢などを使ってもさっぱり爽やかな風味を楽しめます。
2日目からは氷砂糖が溶けて蜜のようになるので、1日1回ほど瓶を傾けて蜜がまんべんなく梅に回るように混ぜます。(この時蓋は開けないように!)
あとは時間の流れにお任せするのみです。
漬けはじめて3日目の様子。
もうすでに梅が黄色に変わっていました。
漬けはじめて10日目。
氷砂糖と蜜のゆらぎが見えてくるようです。
漬けはじめて1か月を過ぎたころ。
氷砂糖がすべて溶け切り、待ちに待ったシロップの完成間近です。
最後の仕上げは小梅を取り出し、シロップを煮沸する作業です。
取り出した梅は梅ジャムにもできますが、今回は小さな梅ということもあり断念しました。
中火でふつふつと沸騰直前まで煮だして、灰汁は取り除きます。
あまり火を入れすぎると梅の風味が損なわれてしまうので気を付けて。
仕上がったら使い勝手の良い容器に移し、常温になるまで冷ませば梅シロップのできあがり。
冷蔵庫や冷暗所に保管しながら楽しみましょう。
さっそくソーダ水で割って、しゅわしゅわ梅ソーダに。
甘酸っぱくてすきっと爽やかな後味。
暑さをさっぱりとぬぐい取ってくれるかのようです。
ほんのり薄付きの果肉も美味しくいただきました。
梅のクエン酸は疲労回復、糖はエネルギー補給に繋がりますね。
これからますます過酷さを増してくる夏に向けて、ふぅっとひと息、気持ちを入れ直すことができました。