〇二十四節気の九番目【芒種】
小満から数えて15日頃、今年の芒種(ぼうしゅ)は6月6日にあたります。
稲や麦といったノギ(モミ)のある穀物の種を蒔く季節という意味の“芒種”。
実際にはもう種まきを終え、田植えをはじめているところが多いですが、旧暦では今の時期が目安とされていました。
これからは夏至に向けて蒸し暑さが増し、いよいよ梅雨がはじまります。
軽やかな風にそよいでいた新緑も雨粒に濡れ、しっとりした雰囲気を纏いはじめます。
日本の四季のなかで、わずかしかない梅雨の暮らし。
この季節の落ち着きを感じながら、日々の変化を楽しみたいものですね。
〇6月11日の入梅
芒種から数えて6日目頃の6月11日を入梅(にゅうばい)と言います。
今では気象庁が発表する「梅雨入り宣言」がその合図となっていますが、江戸時代の人々はこの日から約30日間を、暦の上での梅雨としていました。
というのも、昔は天候情報が発達していなかったため、農家さんにとって梅雨の入りを知ることは重要とされていたそうです。
ちなみに、梅雨明けすることを出梅というそう。
この「入梅」や「梅雨」に“梅”が付くように、この頃は梅が実り熟れる季節。
スーパーやお店には、赤紫蘇の葉や収穫された青梅が出回り始めます。
梅干しは少し大変ですが、梅酒や梅シロップなどの梅仕事を楽しみながら、夏を待つのも良いですね。
〇初夏を潤す紫陽花
この季節に街の道端や山並みを彩り始めるのがこの紫陽花。
青や白、ピンクなど、瑞々しく咲く姿は幻想的です。
移り気という花言葉があるように、紫陽花の特徴は根を張る”土”によって花弁の色が変わること。
酸性の土であれば青に、アルカリ性の土であればピンクになりやすいと言われていて、咲き始めは薄く、次第に濃く染まっていきます。
日本の暮らしのなかで見る紫陽花は青が多い印象ですが、それは降ってくる雨が弱酸性であることと、降水量の多い日本の土が酸性寄りになっていることが理由とされています。
街中や自然のなかに限らず、活けたりドライにしたりと室内でも楽しめる紫陽花は、鑑賞できる期間が長いのも魅力。
家で楽しむのなら、毎日の水かえや水切りも大切ですが、お花がたっぷり水を吸水できるよう、よく切れる花鋏で水切りをして茎の中の白い綿を取り除いたり、切り口を十字に切るなどすると、少しの工夫で持ちがよくなります。