〇二十四節気の五番目【清明】
啓蟄から数えて15日頃、今年は4月5日が清明(せいめい)の日にあたります。
”清明”は、清らかで生き生きとした様子を意味する「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」を略した言葉。
花が咲き、鳥は歌い、すべてが春の息吹を謳歌する季節。
深呼吸をすれば、今までの乾燥した空気とはちがって、少し潤いのある空気に胸がいっぱいになります。
これから新年度がはじまり、入社式に入学式、お花見や歓迎会などの予定も増えてきます。
何かと慌しい時期になるものの、さえたわる空と朝の光がまぶしい日々に、元気をもらえそうですね。
さまざまな”はじまりの予感”に充ちた季節を五感で楽しみましょう。
〇春を頂く
今の季節に楽しみたいのが桜湯。
湯の中で一輪の花が浮く姿は、日本人の美意識が現れているかのようです。
花が開くという縁起に通じることから、結婚式や結納の席などで、煎茶に変わって目にすることが多いのではないでしょうか。
これは、お茶である場合に”お茶を濁す”や”茶々を入れる”という意味合いにとれることと、法事などの弔後でお茶がふるまわれていることから、縁起物である桜湯の習慣が広く伝わったとされています。
桜湯の作り方はいたってシンプル。
瓶詰めで売られている桜の塩漬けを水で軽く洗って余分な塩を除き、お碗に数輪入れて熱湯を注げば完成です。
桜の塩漬けは自家製としてつくることもできます。
お酒が好きな方は“桜チューハイ”としてアレンジを加えても美味しく頂けそうですね。
〇4月12日はパンの記念日
毎日の食卓を美味しく、華やかにしてくれるパン。
世界の半数以上の人がパン食とも言われているそうで、その始まりは約5000年前の古代エジプト時代から続くほど、永いおつきあいの歴史があります。
そんなパンが日本で初めて焼かれたのは 1842年4月12日、中国でアヘン戦争が勃発した徳川幕府の頃になります。
いつ外国軍が攻めてくるのか不安な時代。
その襲来に備えるべく、静岡県伊豆韮山の代官・江川太郎左衛門が「兵糧パン」を考案・開発したことが起源と言われています。
握り飯と比べて、日持ちが良く携帯性に優れ、消化のいい兵糧パンは、今でいう乾パンのようなものだったとか。
その後、明治時代になってからは一般にも広くパンが知られ、お馴染みの”あんぱん”が生まれたことで瞬く間に日本の暮らしに根付くようになりました。
今では日本独自のパンをはじめ、ベーグルやパニーニ、フォカッチャなど世界各地のパンも様々に手にすることができます。
その土地の風土や生活に合わせて、個性豊かなに進化しているのもパンの魅力ですね。