〇二十四節気の十番目【夏至】
芒種から数えて15日頃、今年の夏至(げし)は6月22日にあたります。
暦の上では夏の折り返し地点とされる夏至。
これからさらに暑さが増し、一か月ほど先にそのピークを迎えます。
また、この日は1年の中で最も昼が長く、夜が短い1日です。
昼が短く夜が長い「冬至」と比べると、その時間差は北海道で約6時間30分、東京では約5時間弱になるそう。
ここ最近では、この短い夜を電気でなくろうそくの灯りで過ごすキャンドルナイトが人気ですね。
ろうそくの灯りの中、静かに食事をしてみたり、読書をしてみたり。
普段とは少し違う、スローな暮らしに浸るのも楽しそうです。
〇世界中で太陽をお祝いする日
この時期は北の地方ほど日照時間が長いため、北極に近い北欧などでは、太陽が1日中沈むことがない「白夜(びゃくや)」が起きます。
ヨーロッパではヨハネ祭として夏至祭が行われ、植物の葉や、美しい花々で飾って祝う習慣がありますね。
また夏至の夜に摘んだ薬草はもっとも効き目が強いとされ、ハーブや薬草摘みの季節でもあったようです。
日本では梅雨のため夏至を祀る風習はほとんどありませんが、太陽神・天照大神を祀る三重の二見浦では夏至祭が毎年行われています。
この夏至の前後2ヶ月のみ、富士山を背景に夫婦岩の間から朝日が昇り、神秘的な光景をのぞむことができます。
〇日々を清らかな気持ちで
6月30日は、半年分の厄や穢れを落とす「夏越の祓(なごしのはらえ)」の日です。
日本では古くから、日々の暮らしのなかで穢れや罪が生じると考えられてきました。
清浄さを重要視する神道において、穢れとは「気枯れ(けがれ)」「気離れ(けがれ)」のことで、はつらつとした生命の耀きや霊的な強さを表す“気”が衰えた状態を言います。
そうした気の衰えは日常生活の活気を奪うと思われていたため、6月と12月の年に2度、お祓いをするようになったとか。
ちなみにこのお祓いごとは全国各地の神社で行われているもので、基本的にはだれでも行うことができます。
境内や鳥居の下に作られた、茅の大きな輪を、人々がくぐる様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
また京都ではこの日、「水無月(みなづき)」という伝統的な和菓子を食べる風習があります。
6月の呼び名でもある水無月は、白いういろうの上に小豆をのせ、三角形に切ったもの。
邪気をはらうとされていた小豆をのせ、削りたての氷に見立てて食べることで、夏を健康に乗り切ろうと願ったそうですよ。
ちょうど1年の真ん中に行われる「夏越の祓」は、心の大掃除とも言える行事。
半年間の穢れをリセットし、また新たな気持ちで残り半分の英気を養いたいですね。