インテリアやアクセサリーとして愉しまれているヒンメリは、フィンランドの伝統的なオーナメント。
1本の糸で麦わらを繋いだもので、シンプルで幾何学的なデザインがとても綺麗です。
ペーパーストローを使えば簡単に作ることができ、色や素材の工夫次第で素敵なモビールになります。
今回は、ヒンメリと日本の暮らしの繋がりを探ってみました。
ヒンメリはもともと、冬至祭を祝う装飾品として、フィンランドの田園地方を中心に12世紀から広まっていきました。
ヨーロッパにおける冬至祭は、冬至を境に復活する太陽を祝い、翌年の豊穣も祈願する大切な祀りごと。
祭日がすぎれば、灰にして麦畑に撒き命の循環を図ったり、日々の平穏無事を願うべく1年を通して飾ったり。
結婚式の装飾として使われたりもしています。
このように様々な意味をもつヒンメリですが、その麦わらには精霊が宿ると古くから信じられてきました。
ヒンメリの語源は「天」。幸福を呼び込むものとして、家の中では聖域や結界を表す標の役目も担っているそうです。
この考え方は、稲わらに秘められた神霊の力を綯うことで神域・結界とする、日本の注連縄に通じているように思えますね。
収穫の喜びや自然への感謝と敬いを稲わらにこめ、神棚や玄関に祀って幸福を招き、豊穣や健康を祈ってきました。
私たちも、住宅を建てる際の地鎮祭では注連縄を使って結界を張り、そこに神様をお迎えしています。
どちらも“神様は自然に宿る存在”として共存しようとする尊い文化。
遠い異国の装飾とはいえ、そこに込められた想いを知れば、ぐっと身近な存在に感じられますね。
※写真のヒンメリは、山口市名田島を拠点に活動する【うずまきLife Art】さんからお借りしたもの。
灯りに照らされて浮かびあがる影も素敵。
インテリアとして活躍しています。