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メンタルタイムトラベル 誰かの記憶をめぐる旅【 27歳、台湾。はじめてのひとり旅 編 Vol.0 】

おでかけ
人の記憶は時が経つほどに儚いものです。
それでも、何かしらの刺激をもとにその時の情景や感情が呼び起こされる体験を「メンタルタイムトラベル(心的時間旅行)」というそう。
だれかの物語や時間をたどって体験する、旅の記憶。
想いをはせたり、想像したり。心はどこへだっていけるはずです。

 

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INDEX
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【27歳、台湾。はじめてのひとり旅 編 Vol.0】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【27歳、台湾。はじめてのひとり旅 編 Vol.1】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【27歳、台湾。はじめてのひとり旅 編 Vol.2】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【27歳、台湾。はじめてのひとり旅 編 Vol.3】(順次公開)
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ここ数年で本屋さんや雑誌・TVの特集でも見かけることが多くなった台湾。私もその魅力にどっぷりハマってしまったひとりです。隙あらば旅の計画を企ててしまうほど大好きな地なのですが、初めて訪れた時のことを綴ってみたいと思います。

ひとり旅をされたことのない方も、ひとり旅経験者の方も、どうぞ温かい目でご覧いただけたら幸せます。まずはVol.0として、旅のきっかけと日本国内での移動話をどうぞ。

 

■27歳になったばかりの秋。その日は突如やってきた。

「そうだねぇ。台湾が似合うんじゃない。」

仕事中、得意先の方との雑談で「どこか遠いところへいきたい」と漏らした私にそう返してくれたことがはじまりでした。

タイワン。たいわん。TAIWAN。脳内にこだまする、台湾の響き。
”いつかひとり旅を”なんて漠然とした憧れはあるけれど、日本じゃなくて外国だし、台湾の知識はまるでないし……。これまでの海外経験は、ブーム(IKKOさんのBBクリーム)に便乗した韓国の釜山と、卒業旅行で奮発したヨーロッパ周遊のみ。ツアー会社や友人のナビに頼りきりの旅経験しか持ち合わせていない私にとって、不安しかない挑戦にひるんだものの、目の前がパッとひらけたような感覚がわずかに勝ったのでした。

 

さらに当時の私は社会人5年目。一丁前に、あれこれと欲や迷いがでてきてしまった時でした。行ってみたら、なにかが変わるかも…!と、かなりべたべたな理由でしたが、そこからわたしの”台湾デビュー”計画がはじまったのです。

丁度そのころ、私生活でも仕事先でも、台湾に関わる何かと出会うことが多かったことを覚えています。これも何かのお導きなのかもしれないなと、すとんと腑に落ちた感じも背中を後押ししてくれました。

 

・・・

 

そうはいっても、不規則な仕事のしがない会社員にとって、海外旅行なんて夢のまた夢。すぐに準備できる潤沢な旅行金とゆとりある時間はほぼないに等しいのです。(この時すでに、出発希望日の2週間前……友人を誘うのも気が引けました。。)

台湾の予備知識もゼロのまま、恐る恐る旅行サイトをみてみると、手の届く旅行価格に小躍りしましたが、パッケージ化されたツアーの日にちにがっくり。どれもこれも無理な日程じゃないか。学生の時はお金がネックで、社会人になれば時間にとらわれるとはよく言ったものです。身に沁みました。

 

幸運にも台湾を勧めてくれた方が仕事柄、馴染みある国から民族が暮らすような僻地まであちこち行かれていたので、ツアーに頼らない旅の仕方を教えてもらいました。
航空会社の選び方、経由便を駆使した格安ルートの組み立て方。空港での過ごし方や搭乗ゲート、荷物チェックでのあれこれ。旅行保険や両替店の知識、ひとり旅で最低限気を付けることなども。

 

その後は自分でプランを考えるべく、夜な夜な台湾にまつわるカルチャー本や雑誌を読み漁ったり、ネットで調べた情報をスクリーンショットで残したり(現地では基本、無料Wi-Fiで過ごすつもりでした)。はじめてだらけのことに脳内が爆発しそうでしたが、この時からもうすでに非日常がはじまっていた気がします。

 

・・・

 

そして迎えた出発日。目指すは、山口県→関西国際空港です。
深夜便で飛び立つため、いつものように仕事を終え、その足で新幹線に乗る予定でした。

が!山陰の小さな地震により、公共交通機関に乱れがではじめていると知って、万が一のため新幹線を1時間早めることに。それを逃せば、飛行機には間に合わない可能性も……!

 

予想だにしていない事態。あの日、午後以降の仕事のことは正直あまり覚えていません。それでも冷静を装い、仕事を片付け(たであろう私は)、定時と同時に退勤し、バックパックを背負って全速力で駅へ。

これがひとり旅の洗礼か~~!と、不安な気持ち7割、ハイな気持ち3割で走りましたが、遅延の影響なんて露知らずなJR西日本中国が、拍子抜けするほどおおらかに私を迎え入れてくれました。よ、よかった……。ここはまだ大丈夫だった。

 

それでもまだ気は抜けません。山口県から関西国際空港を利用したことのある方はもうお判りのはず。第二の関門が待ち構えていました。そう、乗り継ぎです。
この時の路線はJRの「特急はるか」に乗るスケジュール。
「これさえ乗り継ぎできれば、空港の渡航手続きへ辿り着ける……乗り違えは許されないぞ……」そう奮い立たせながら、JR西日本サイトの遅延情報を逐一チェックする私。

 

そして新大阪駅につくと案の定、電光掲示板には「おくれがでています」「△遅延」の羅列が。
やっぱりそうですよね……!動悸を感じる胸を抑えて乗り継ぎホームへ向かいます。あの時の私は競歩選手のような俊敏さを発揮していたと思います。

駅構内では人の多さに流され迷い、駅員さんに訪ねつつでしたが、なんとか許容時間内に特急はるかのシートに腰をおろすことができたのでした。

 

はあああ、ながいながい安堵のため息。緊張続きでもうすでにぐったり。
幸先不安な幕開けとなりましたが、この車内でようやく旅のスタート地点に立ったような気分に。目的の地までもう少し。

 

次回は空港でのハプニングと台湾到着のお話を。
どうぞ気軽にお楽しみください。

(つづく)

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