人の記憶は時が経つほどに儚いものです。
それでも、何かしらの刺激をもとにその時の情景や感情が呼び起こされる体験を「メンタルタイムトラベル(心的時間旅行)」というそう。
だれかの物語や時間をたどって体験する、旅の記憶。
想いをはせたり、想像したり。心はどこへだっていけるはずです。
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INDEX
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編 vol.1】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編 vol.2】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編vol.3】
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湯梨浜町松崎のショップめぐりの始まりは、リニューアルしたばかり(訪問当時)という古書店『汽水空港』から。
古書、新刊にリトルマガジン、ZINEまで。
木のぬくもりあるフレッシュな空間でひしめき合う数多の本。
どの本もここに来られて嬉しそう。
センス溢れるセレクトに魅了され、数冊購入しました。
それと、屋号の文字がなんともいえない柔らかさなんです。
屋号の書体に正解もなにもありませんが、僭越ながら大正解‼って言いたくなるほど。
写真を撮りそびれてしまいましたので、気になる方は実際に行かれるかHPでチェックしてみてくださいね。
ちなみに、お店の目の前に広がる東郷湖は汽水らしい。くう。
近くの古着屋が午後からの営業だったため、先にランチタイムにしました。
湯梨浜町とは一旦お別れ。
昨晩、「バナナミルクがおいしい!」と教えてもらった、喫茶・お食事処『モダン』へ向かいます。
心配性のくせに、事前にしっかり下調べをする旅よりも、
出会った方とのご縁で成り立つ行き当たりばったりな旅のほうが好きだったりします。
鮮度があってわくわくしますよね。
どうですか、この外観。堪りません。
一歩踏み込むや否や、まさにタイムトリップ。
店内には“80年代のモダン”とロマンが詰まっていました。
薄暗くてムーディーな空間。
アイドルのポスターにファミコン、コミック…あの時代の金字塔というものが見事に揃っています。
実はこちら、オープンして数年目のお店だそう。
あるべくして辿り着いたノスタルジックなアイテムたちによって生まれた、良い意味で作品のような上質な空間。
昭和という時代に対する、お店の方の底なしの愛を感じます。
好きなものに囲まれたお城のような空間で、毎日働けたら幸せだろうなあと安易にうらやましく思いました。笑
先輩はお店の看板である牛スジラーメン、わたしはオムハヤシを注文。
待ち時間も苦にならないほど圧巻の設えに、ドキドキ。
ふたりでずっとキョロキョロしていました。
とろっとろの牛スジソース!絶妙な半熟卵が溶け合ってもう!
言葉はいりません。
お口直し?の、あっさりとしたおでんのスープ付きなのも粋。
ラーメンもちょっといただきました。
なみなみに湛えたスープはすっきりしていてごくごくいける。
たっぷりのネギも名脇役でした。
まさに、旅の醍醐味は食にあり!大満足なランチタイム。
バナナミルクももちろんいただきましたよ。
あ、ここのお手洗いも素敵でした。本当に。
細部まで隙がないというか、お店の方はすごく凝り性な方なんだろうな~と心が躍りました。
レトロでキュートなアイテムたちは、販売もされているよう。
近くにあったら絶対通っている。
バスの時間が迫っていたので、名残惜しくもお店を後にしました。時間があったらもっと楽しみ尽くしたかった…!
でも、こんなどたばたも旅ならでは。思い出してクスッとできます。
さて、湯梨浜町に戻ってきて、古着屋へ向かいました。
旧歯科の建物を活かした『朴訥』というお店。
あちこちに見える“歯科感”がすごく可愛い。
『朴訥』とは…飾り気がなく、無口であること。実直であること。
そんな自身の姿を投影した屋号だそう。
オーナーさんは「不器用」という言葉を使って表現されていましたが、一般的なそれとはまた違うような。
“言葉で表すことができない感覚”を感受するアンテナみたいなものが、きっと人一倍敏感なんだと思う。
無口なわけではなくて。
あ、でもそれをうまく言葉に表せないから「不器用」と仰ったのか…?
わたしの稚拙な憶測は続きます…。
“寡黙”でも“素朴”でもちょっと違う、“朴訥”。
内に秘めた覚悟とか、そういうものが含まれているような気がしました。
ずらりと並ぶのは、アメリカに一人で行き、買い付けたという品々。
オーナーさんの想いが透けて見えるような、体現させたような、そんな心躍るセレクトばかり。
手に取って触ってみたり、試着してみたり。
先輩は優しい桃色のチャイナシャツ、わたしは葡萄色のワンピースと、友人へのお土産にデニムのエプロン風ワンピースを購入。
オーナーさんの素敵な笑顔に見送られ、お店を後にしました。
旅の締めくくりは、こちらも教えて頂いたすぐ近くのカフェ『HAKUSEN』で。
岬にあって、東郷湖を一望できる見事なロケーションでした。
ゆっくりはできませんでしたが、帰路のお供にと甘酸っぱいソーダをテイクアウト。
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自分たちの夢を切磋琢磨して形にし、芯を持って輝いている方々が生み出している。
この鳥取旅では、そんな空間に触れることが多かったです。
いろいろなことに気づかされ、刺激を受けて、わたしももっともっと頑張ろう!と思えた2日間でした。
のどを駆ける微炭酸とさわやかな甘みが、疲れと暑さに心地よく染みて、そんなこんなで旅はおしまい。
Vol.3まで、お付き合い頂きありがとうございました。
(おわり)