人の記憶は時が経つほどに儚いものです。
それでも、何かしらの刺激をもとにその時の情景や感情が呼び起こされる体験を「メンタルタイムトラベル(心的時間旅行)」というそう。
だれかの物語や時間をたどって体験する、旅の記憶。
想いをはせたり、想像したり。心はどこへだっていけるはずです。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
INDEX
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編 vol.1】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編 vol.2】
メンタルタイムトラベル だれかの記憶をめぐる旅 【鳥取米子編vol.3】(9/30公開)
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
■鳥取米子編 1日目
とあるゲストハウスの話で盛り上がり、突如決まった、わたしと先輩の1泊2日鳥取旅。
山口県から約5時間、在来線、新幹線と特急列車に揺られて米子駅に降り立ちました。
初の鳥取県上陸!
田舎者のわたしには、ほどよい町の栄え具合という印象(褒めてます)。
お盆明けの厳しい残暑。
クーラーの効いた涼しい場所で、冷たいものが食べたい!と、最初に向ったのは
米子市美術館の隣にある、『フルーツカフェハタノ』。
悲しいかな、旅先といえどクーラーという文明の利器の魅力には抗えません。
人気店らしく人がいっぱいでしたが、待った甲斐があったと思える口どけ。
始まったばかりの旅に心躍らせながら、フルーツがゴロゴロのった贅沢なかき氷を頂きました。
ゆっくり涼を取ってからは、心惹かれるままにぶらり街歩き。
金物屋に煙草屋ときて、路地にひしめくスナック街に遭遇…!
ここ朝日町は、米子市では有名な現役の歓楽街とのこと。
白昼に眠った姿もまた一興です。
ここで、先輩の血が騒いだコレクションをどうぞ。
味のある看板に惹かれるまま散策を続けていると、わたしの靴擦れが限界に到達…!笑
旅は履きなれた靴が一番…こんなに当たり前のことを堂々と旅行記に綴るのは、後にも先にもわたしだけかもしれません。
絆創膏を購入し歩いていると、近くを流れる川辺に、ぷかぷか泊まった遊覧船を発見。
「乗りたい…!」目を輝かせた私たちでしたが、辺りに人の気配ナシ。
船頭さんに連絡を取ってみると、運行は10時と14時の2便のみで、今日の営業はもう終了したとのこと。
ただ今の時刻…14時30分…。オーノー。
靴擦れさえ起こさなければ間に合ったか…と思うと、足よりも胸が痛みました。いつかリベンジしに来ます!
悔し涙を飲みながら、次の目的地を決めて米子駅まで戻りました。
駅員さんによると、電車をかなり待つことになりそうだとか。
(唯一人見知りが発動されない、旅先マジックです。知らない人にもガンガン話しかけられます。)
わたしのいつもの旅行といえば、もっぱら交通網が発達している場所だったので、
「電車がない!!!!」というこの感覚、悲しみや焦りとかよりも、故郷・山口県を思い出し、なんだか親近感が湧きました。
到底歩ける距離ではなかったので、わたしの得意技(おいおい)、タクシーを召喚。
次に目指したのは、中国地方の最高峰である大山、その麓にある『Hut(ヒュッテ)』という場所。
静かな森の中で、モノづくりと、音楽と、コーヒーがひっそりと共鳴している不思議な空間。
ショップとも、複合施設とも形容しづらいその場所は、“Hutという場所”という説明が似合う気がします。
10代の少年が営む『ANAN coffee』で、コーヒーと素朴なビスコッティを頂きました。
どっしりと濃い、ネルドリップでのコーヒー。心地よい苦味とまろやかな旨味が染みる。
ちなみに、今年の春から『ANAN coffee』は北海道へ移転されたよう。
ますます広がっていく若き少年の可能性に、こちらも勝手にどきどきしてしまいます。
心地よい葉擦れと鳥のさえずり、音楽。
クーラーなんてもちろんないけれど、ひんやり涼しい。
よく、“日常の喧騒を忘れる”という表現が使われますが、この表現をこれほど具現した空間があるんだなあと思いました。
もし説明が必要な人がいれば、ここに連れてきたら一発。
余談ですが、お手洗いマニアのわたしとしては、すごくグッとくるお手洗いでした。
カメラを持って撮りに帰ったほど。
トタンの小屋が、こんなにおしゃれな空間になるなんて。
この手洗い場だって、これ、素敵なカフェのドリンクサーバーとしてしか見たことないのに!
限られたツールの中でこそ、センスとアイディアが光りますね。
さて、何時間経過したのかわからないほど、ゆったりと時を忘れてくつろいだわたしたち。
最寄りの伯耆大山駅から約1時間かけて、ついに今回の旅の主役であるゲストハウスが待つ、湯梨浜町松崎へ向かいます。
湯梨浜町についてからのお話は、Vol.2でゆっくりとお話しできたらなと思います。
(つづく)