平屋のように暮らせる間取り、将来の暮らし/家族の変化を見据えゆとりを残したリノベーションです。
コンセプトは「家族が自分の世界を持てる家」。
お互いの距離感を尊重でき、ひとりの時間を心地よくすごせる工夫を空間に落とし込んでいます。
ご夫婦ともに趣味を大切にしていることから、敷地で一番陽当たりのよいスペースを基点に各々の自室+ウォークスルークロゼットとし、姿が見えなくても声や音で繋がれる空間構成です。
だからこそLDKは家族が集う空間を作りこみました。
造作のキッチンを中心にコミュニケーションが生まれ、使いやすい動線を計画しています。
庭にひらく土間は玄関ホールと繋がっており、ここも暮らしの動線を意識しました。
玄関扉は造作で両開きのデザインになっています。
[ 設計意図 ]
リノベーションの魅力のひとつは、既にあるものから価値を見出し未来へ繋ぎ、残していけることです。
この度のリノベーション計画は築40-50年経った昭和の住宅。
家主さんが手放すことを決められ、新しい住まい手を探されている中古住宅でした。
その検討・購入からお手伝いさせていただき、現地調査を重ねて家づくりが進んでいきました。
数十年前の住宅設計は来訪者いわゆる第三者の存在が前提としてあり、陽当たりや風通しが一番良いスペースを客間に据えることが一般的でした。
ですが今は暮らしのかたちも変わり、住まい手を主役とした家づくりが増えています。
暮らし方によっては間取りや住宅性能からチューニングする必要があるため、お施主さまの価値観・ライフスタイルを優先しながら「生活そのものを再編集」していきました。
またこの家の一部には陽当たりをどう改善するかの課題があり、方角や庭との関係性を踏まえて解決するにはという視点も意識し設計しています。
そして古いものはそのままに新しいものを馴染ませるスタイリングとして、古材や古い建具にも合う真鍮やステンレス、無垢、塗り壁など、マテリアルは丁寧に提案いたしました。
時間とともに表情を変えながら味わい深くなる過程を愉しんでいただけます。
【 before 】