9月がはじまりました。
白露も近づき、暦の上では秋へと移り変わる季節です。
あれだけ暑かった朝晩の気温も和らいできたように感じています。
事務所はいつもと変わらず、お客さまや業者さんとのお打ち合わせや土地・中古住宅の下見、新しい現場での着工、完成したお家のお引き渡しなど、穏やかながらも賑やかな毎日を送っています。
春先に順次着工した山口市大内のモデルハウスや山口市宮野のリノベーション再販物件も完工が近づいてきていて、いよいよなんだなと感慨深いです。
webサイトではいくつか変化がありましたので、ここでご紹介させていただきます。
ひそかに公開させていただいたのは「英語訳サイト」。
頻繁に訪れてくださっている方は見つけて下さった方もいらっしゃるかもしれませんね。
国や言語を縛られることなく、さまざまな方に私たちの考えていることをお伝えできたらとそんな思いから制作しました。
ふたつめは動画I.D.Works brand movie 2020を制作したこと。
2017年に作っていただいた動画から3年も経っていて時の流れを実感しました。
スタッフも増えたことを機に、今の私たちを記録する意味も含めて制作させていただきました。
最後はID不動産ページ。
リノベーション再販物件の着工レポートをはじめてみました。
工事前と工事後で構造や仕上げなどが変わるリノベーションは、具体的なイメージというのがなかなか湧きにくいのかもしれません。
そこで少しでもお役に立つことができればと思い、着工前から時系列でレポートする内容になっています。
これまでは事務所に保管しているフォトアルバムや資料をご覧いただいてきたのですが、webでもお伝えしていきたいなと思っています。
[ ID不動産ページ_ 建築中|耐震・断熱を考えた性能向上リノベーション 川辺の暮らし ]
そして今日最後のお話。
この夏くらいから徐々に着手している計画があるのですが、そのうちのひとつに「街を見つめなおす」ことを行っています。(blog 2020年8月4日「プロジェクトの始動と地域風土のこと」の現地調査のお話より)
皆さんは自分が暮らす街や地域は数十年前どんな姿だったのだろうか、そんなことを考えたことはありますか。
大臣やお役人がこんなことをしたというような教科書に載っている情報ではなくて、もっとミクロな街の人たちの暮らしです。
観光地や旅行先の土地となればおそらく誰もが1度は経験があると思うのですが、今住んでいる場所に対してというのは案外少ないのではないでしょうか。
今実際にしているのはご近所さんにお話を伺ったり、その場所を訪ねてみたり、古い記録や書物を読むこと。
これが予想以上に興味深く新鮮で豊かな体験だなと感じています。
変わっていく社会での暮らし、人とのつながり方、生きぬくための工夫。
そういう過去の断片にふれていると、様々なことを考えさせられます。
詩人の吉野弘さんの作品のなかに「生命は」という詩があるのですが、この詩を思い返すようでした。
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ世界は多分
他者の総和しかし
互いに欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせずばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている私も あるとき
誰かのための虻だったろうあなたも あるとき
私のための風だったかもしれない吉野弘『吉野弘詩集』1999年 角川春樹事務所
私たちは常に人の力を借りて暮らしていて、自分以外の誰かがいるから生きることができています。
誰かがつくったお野菜やお米をいただき、誰かがつくった服を身に纏い、誰かがつくった空間で時間を過ごしています。
それは“こころ”も例外ではなくて、ある人の言葉に力をもらえたり、その存在に励まされたりする。(時には逆もあると思います。)
世の中を形作るすべてのモノやコトに対して人の気配を感じないことはなく、時代は変われどこれらは不変です。
また私たちは無意識の行動も影響を及ぼしていたりして、気づかない、知らないうちにその関係ができていることが美しいなとも思うのです。
そう捉えなおすと身の回りのことやものが愛おしく感じたり、気持ちがやわらかくなくなる気がします。
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まだまだ上手にまとめることができていないのですが、見たこと感じたことを皆さんにお伝えする機会を作れたらとそんな風に思っています。