10月です。
日中の暑さが少しやわらぎ、畦道には曼珠沙華が咲きはじめました。
ここ最近は、窓を開けた車でまちや山道を走っていると、金木犀の香りがふわりと舞い込む瞬間に嬉しくなります。
こうした移り変わりに気づけることは、日々のやすらぎに繋がるような気がしています。
先日、住宅設計を手がけている「ネイエ設計」さんを訪ねて愛知県へ行ってきました。
建設事業からはじめられ、今年で創業95年。
ネイエ設計というお名前は2000年にスタートされたそうで、今では8つの支店を展開されています。
今回内覧させていただいたのは4棟のモデルハウスと事務所です。
そのうち3棟は、ハウスメーカーも建ち並ぶ住宅展示場に構えていらっしゃったのですが、住まいのなかへ一歩入ると、展示場にいることを忘れてしまうかのような空間と風景が広がっていました。
腰掛けて眺めてみたり。
ゆっくりと歩いてみたり。
触れて質感を確かめてみたり。
暮らしを想像しながら、心がうごく瞬間を掬いとるような感覚です。
紅葉しかけた枝葉が、揺らぐ木陰をつくるさま。
差し込む光が障子を通して淡く広がっていくさま。
秋を纏った風や新鮮な空気が家を通り、外へぬけていく開放感。
ドライブで気づいた金木犀の香りのように、
日々のなかで見落としがちなことも、ネイエ設計さんの家ではそのひとつひとつを愛しく感じられる。
そんな気持ちになりました。
家と庭の調和、空間の陰影、そして心地よさに対する丁寧なまなざしを学ばせていただきました。
わたしたちもその姿勢を胸に、
住まわれる方が自分たちらしく、ふくよかな心で暮らせる家づくりをより深く考えていきたいと思います。
社長様をはじめ、スタッフの皆様、貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。
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旅のおまけ。
移動中に見つけた渋いビルとときめくような喫茶店。
名古屋の街にはわたしの好みに刺さる建物がたくさんありました。
中でも新鮮だったのは、質屋があちこちに見受けられたこと。
名古屋の人にとってはとても身近な存在のようで、年季の入っているお店も現役で営まれているようでした。
知らないまちを歩くとき、こんな風に地域性を見つけてはあれこれと考えを巡らせるのも、個人的な楽しみのひとつです。