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リノベーションの断熱性能のお話【前編】

家づくりの技術

こんにちは。技術室の福田耕平です。
今回はリノベーションの断熱性能についてお話しさせていただきます。

 

■リノベーション住宅の断熱性能について

中古住宅リノベーションを検討されている方にとって、一定築年数以上の木造住宅の断熱性能が実際どの程度で、どこまで工事で改善できるのかは気になるところだと思います。

木造住宅の断熱性能の水準と施工方法は、環境への関心の高まりとともに最近20年ぐらいの間に様々な断熱工法が議論され、急激に“洗練”が進みました。

そのため、全面的なリノベーションの対象となるような築年数の木造住宅(概ね築30年以上)の断熱性能は、2021年現在の新築木造住宅と比べると“低水準”というのが正直なところです。

このような住宅を“現在の性能水準”の感覚から、どのようにどの程度までどの程度コストをかけて断熱性能を高めるかは、意外と悩ましいところではあります。

 

 

■リノベーション対象木造住宅の断熱性能

I.D.Worksがリノベーションしてきた木造住宅は築30年程度以上のものが多く、断熱性能で分類すると、山口県内の場合は以下の表のように概ね3タイプに分類できるのではないかと考えています。

 

弊社の施工実績では、タイプ①土塗壁型(無断熱)が最も多いです。
山口県には土塗壁型の木造住宅が多く残っていますが、土塗壁自体に断熱性はないため無断熱と考えてよいです。

なお、タイプ②の無断熱型(土塗壁なし)は山口県内では不思議と少ない印象です。

 

 

▲タイプ①土塗壁型(無断熱)の小屋裏

 

 

 

▲タイプ②無断熱型の小屋裏

 

 

 

▲タイプ③初期断熱型-壁断熱

 

 

 

▲タイプ③初期断熱型-天井断熱

 

 

国土交通省の建築物省エネ法が定める断熱性能UA値(小さいほど高性能です)の現行基準が0.87ですので、リノベーションの対象となる年代の木造住宅の断熱性能は現在の基準と照らし合わせるとかなり低水準です。

また当時は気流止めを意識した施工がなされていないため、床下から壁の内部に入り込む気流が多く冬の隙間風が気になります。

 

1980年頃以降は、現在より薄めの断熱材が入った住宅が主流になってきますが、現在のような断熱施工方法がこなれていなかったため、「固定方法」や「隙間なく」のところで施工精度が低く、計算上の断熱性能UA値は発揮できていない印象です。

感覚的には1990年代から徐々に断熱施工も適切にこなれたものが多くなります。

 

 

またリノベーション対象となる築30年程度以上の住宅に多いシングルガラスは夏の暑さや、冬の結露が問題になります。
これをペアガラスに変えると体感的な効果が高いです。

 

40代以上の方であれば、「(昭和の)無断熱住宅」の記憶があると思います。
築30年程度以上の住宅は、2021年現在の住宅と比べると明らかに「夏暑く冬寒いエアコンの効きが悪い家」というのが正直なところです。

 

家ごとに課題が異なっていたり、お客様それぞれに価値観がありますが、I.D.Worksが住宅をリノベーションする場合は、建物のタイプに応じて予算と費用体効果を考えた断熱性能向上をご提案させていただいています。

 

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