拝啓
建て増し間取りファンの皆さまへ。
暮らしの変化とともに家へのコストパフォーマンス、間取りの最適解が画一化されていくなか、個性的な造りや時代の勢いを感じるものは減少の一途を辿りつつあります。
この度ご紹介させていただくのはお店の開業や家族の変化により建て増しを重ねた間取りです。
どんなふうに手を加え暮らしを豊かにされたのか、ぜひ想像をめぐらせながらご覧ください。
かしこ
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この度、2023年12月2日(土)・3日(日)にオープンハウスを開催させていただくことになりました。
会場地図などイベント詳細はこちらをご覧くださいませ。
ご予約不要です。
住宅から店舗併用に進化を遂げたお家のご紹介です。
どうぞお手柔らかに。
立地は県立総合病院の目と鼻の先、車通りの多い道路から1本小道に入った長閑な地域です。
傍から見るとお家が2世帯並ぶように見えますが、これでまるっと1世帯分の建物になります。
ひと癖、いやふた癖はありそうじゃないですか?
そうです。建て増し、リフォームを経て、、たどり着いたのはテトリスのような間取り。
???なクエスチョンが続く方もいらっしゃるかもしれません。
全容を少しずつ紐解いていきましょう。
お伺いした時は家財道具の整理をしている真っ最中でした。
実際には家具や生活品がない状態での購入となりますのでご承知おきくださいませ。
玄関入ってすぐ、目の前に飛び込んでくるのは広めの壁と一筋のダウンライト。
自分が住むときもこんなふうに絵画やタペストリーを飾りたい。
照明が可愛い洗面や明るいトイレを通り過ぎ、
突き当たりのダイニングへ。
出窓と飾り棚が凝ってます。ここには何を飾りましょうか。
アコーディオンカーテンの先はリビングです。
天井まである掃き出し窓が開放感たっぷりでうれしい!
お庭から舞い込む風も心地いい。
隣接する和室も明るくてシンプルな仕様ですよ。
洋家具やデザイン性のある照明も馴染みやすそうです。
わあ!広い!潤う緑!
トマトになすび、あじさい、つつじ、ランタナ、ナナカマド、ローズマリーなどなど。育っていました。
(二階建てのはずですが!)平屋ならではの暮らしを満喫できるお庭です。
あら。これはブレーカーですって。木目調が新鮮です。
親切住宅 セキスイハウスさん。昔のロゴ、可愛いですね。
キッチンはリフォームされ広く明るく使いやすくなっています。
パーテーションで仕切らなければ、キッチンダイニングひと続きになる間取り。
ぐーっと縦に伸びる間取りになりますが、キッチン・ダイニング・リビング・お庭の抜け感は魅せられるなあなんて思ったり。
そしてここが今回の主役。
それぞれの部屋に繋がるので“はざま”の空間とお呼びしましょうか。
建て増しとリフォームで生まれた不思議なはざま。
茶室のように狭められた謎の入口、床下に伸びる室内はしご、右からの光は一体どこからやってきてる?
もう少し近づいて目線を変えてみましょう。
……平衡感覚がとっても変だ…。
はしごをよじ登って上から覗くとこんな眺めです。
なるほど。光が射すほうは勝手口でしたか。
床下に伸びていた室内はしごは土間の階段へ続ています。下りてみると、、
調理器具に洗剤用品。それに神棚のあるちいさな厨房に辿り着きました。
電気、水道、空調も。ひと通りきちんと揃っています。
20年ほど前までは洋菓子店として街に開いていたそうで、このかわいい色使いはその名残というわけですね。
ペールピンクとホワイト、夢のなかみたいな空間。小窓のカウンターも素敵です。
苺ショートにチョコケーキ、カップケーキやバタークリームケーキも並べられていたのかもなんて妄想が膨らみます。
ここは洋菓子を並べていた店舗スペース。
まさか道路に面したタイル調のエントランスがここに繋がっているとは。
階段を下りたはずなのに地上に辿り着くなんて。不思議な感覚です。
そして先ほど茶室の入口のようだと紹介した謎空間は、店舗厨房の真上に位置する鉄骨造の小部屋になっていました。
天井が低くてヒミツの小部屋みたい!
趣味室もしくは倉庫として活躍してくれそうな予感がしますね。
ID不動産的おすすめはシネマ&オーディオルームでしょうか。
遮光の工夫はさほどいらなさそうですし、換気もできそうです。
“はざま”の正体が解明されたところで2階のお部屋を見てみましょう。
オレンジの照明、パーケットの床、レトロな天井パネルと壁の化粧合板。
懐かしさが込み上げるビタミンカラー仕様です。
こちらは対になっているお部屋。
バルコニーは広いお庭や山並みの緑をゆったり眺められる特等席になりそう。
小さな踊り場にはパイナップル色のきらきら照明!
サクマドロップスみたいなフォルムがまた可愛いのなんの。
ここでひとつ心配事をお伝えするとすれば階段でしょうか。
昔ながらの規格のため勾配が急&踏板は小さめです。
老後を思うといつかは……
とはいえ1階が平屋のように暮らせる間取りなので、いずれ2階を使わない暮らしを想定しておくことが安心かもしれません。
さて。この建物の空間構成が少し分かってきたのではないでしょうか。
高低差はあるけど平屋のような造りで庭もある。
それに趣味を楽しむための空間も。
変わった間取りを味方につければ、住み心地の良い充実した暮らしを送れそうです。
そしてこのお家のミソは店舗空間。
もし今、(今でなくともゆくゆくは)お菓子づくりを商いにと考えていらっしゃるのであれば。
ここで新たにお菓子店をスタートするっていかがでしょう?
店舗(1階)+住居+事務所(2階)の使い方で。
こぢんまり始めるにはちょうどいいサイズだと思うんです。
路面店舗で人通りやアクセスの良さも悪くなくて、病院もすぐそばにある。
手土産やお見舞いにも選んでもらえたらなんて希望を込めて。
店舗利用を考えてないのであれば、思い切って土間に変えてガレージ的な使い方をおすすめします。
バイクや自転車のお手入れを楽しむのに丁度いい広さです。
よっぽど大きな車でなければ車庫としての活用も◎。
1.5階のヒミツの小部屋を残しての改修も可能です。