窓のデザインを筆頭に、“お城”をイメージしたかのようなオーラが滲み出ているこのお家、これは只者ではなさそう。
もう少し近づいてみましょうか。
こっくりした色合いの玄関扉はオイルのクリア塗装でお手入れすればもっと良い風合いに落ち着きそうですね。
軒が深いので、強い雨の日も落ち着いて傘を畳んだり身支度を整えたりと出入りができそうです。
風除けの仕切り壁は半月型のゆるやかな曲線になっていたり、タイルのテクスチャーもひと癖ある感じ。
この型板ガラスは「ちぐさ」といって、いろいろな種類の草を表す「千草」の模様。
浴衣の柄にも好まれそうですよね。
ちなみに「千草色」はほんのりくすみがかった綺麗な薄緑なのですが、もしもこのガラスにそんな色がついていたのなら、きっと玄関の枯葉色タイルとの色合わせは素敵になると思うんです(建て主さんはここまで意図していたのかしら。)。
それにアプローチ周りの植栽も見てください。
バラにシラン、モミジやツツジ。ユリも咲きそうな雰囲気です。壁面にはヘデラも。
建物外観と同じく和洋を混合させたこのセンス、この先の空間を思うとなんだかうずうずしてきました……!
目線を変えて、庭園側からも見てみましょう。
こっちから眺めると、和の雰囲気がぐっと増してますます日本のお城みたい。
ベランダのある2階窓にはアーチ状の飾り……こういう細かいところ、つい注目してしまいます。
1階の掃き出し口にはこれまた気になる位置にガラスブロックが。
ここは一体どんなお部屋なのでしょうね。
そうそう、建物の最奥/裏手側には大きな差し掛け(外部倉庫)もありましたよ。
外観とお庭周りをたっぷり満喫したところで、いよいよ建物内部へ。
期待を込めて扉を開けると、すっこーんと気持ちよすぎるくらいに抜けきった玄関ホールが出迎えてくれました。
おおー、、なんて圧倒される空間なのでしょう。
天井からつり下がるのは、〇ー〇ー〇のポップなオレンジボール!
こんなシャンデリアチックな照明、喫茶店の吹き抜けや螺旋階段でしか見たことがないのですが。(住宅にも設置できるものなんですね!)
どうしましょう、まだ序盤のはずなのに興奮がとまりません……。
それにアーチ型の入口や扉がいち、に、さん。みっつも!
それぞれどんなお部屋に続いているのかしら。
まずは1階真ん中の木扉のお部屋を拝見してみましょう。
あら、まあ。期待を軽々越えた空間に思わず歓声をあげてしまいました。
こうきましたか~!
あれもこれも心惹かれるものばかり。
あまりにもときめきが過ぎて一旦部屋をでて深呼吸しました。
頭と感情の処理が追いつかない。
さて。なかなかお目にかかれなさそうな、この造り付け棚から。
暖炉を想定したであろうスペースには、ああほらやっぱり。
コンセントが完備されています。
「電気暖炉」「暖炉型ヒーター」でネット検索しながら購入したい商品を吟味する日が続きそうですねぇ。
ルーバー収納はワインセラー専用でしょうかね。
引き違いのガラス棚にはグラスやアイスペールを飾って、気分は【別荘で過ごす余暇休暇】が想像にたやすい!
ランプの下には帆船模型を飾りたいなぁなんて。(テレビは置かないでいる方が正解かもと思わせてくる雰囲気です。)
お酒を嗜みながらワルツ〈美しき青きドナウ〉を流しましょう。
満たされる夜の宴はもちろん、目覚めの良い朝、優雅な昼下がりも。
ふふふ、妄想が膨らんで楽しくなってきましたよ。
イチョウの模様が描かれた型板ガラスに、チョコレート板のようなアーチ扉。
絵本にでてきそうな雰囲気にきゅんとしてしまいます。
そして照明や壁のクロスやタイルたちも見てほしいのです。
チューリップのようなフォルムもあれば、貝殻のような照明まで。モダンな白タイルとクロスも。
ああ、なんてロマンティックなの。
隣接しているのはこんなに立派な和室。
扉1枚を経るとこの雰囲気というギャップもたまらないですよね。
縁側、床の間、この堂々たるしつらい(ブルーグレーの上品な配色も好き)。
この広さ、祖父母や親戚家族が皆集まった時の思い出が蘇るよう。
あ!欄間は鷲の透かし彫りがありますよ。
(鷹?鳶?でしょうか。鋭い眼光と躍動感が恰好よい。)
しゅわしゅわのラムネ色にうっとりするガラスブロック。
こんな空間だったのですね。しっかり光を取り入れたいという思いが伝わってきます。
写真左下にちらりと写りこんでいますが、ここにも型板ガラスがありました。
生い茂るような葉っぱ模様ですが、お庭との調和を狙っているのでしょうか。
このゆったりした広縁、なんだか贅沢。
ここに家具を置くなら籐の椅子と机が似合いそう。
外の景色を見たり、のほほんとお茶時間を過ごすのも良いな。
こちらは暮らしの中心、ダイニングキッチン。
これまでの雰囲気から比べても新しめなので、おそらくリフォームされたのでしょうね。
決して陽当たりが良いとは言えない造りなのが少し気になりますが、間取りを変えるといったリノベーションをせずに極力そのまま使うとするならば。
ここのカウンター上部の壁/吊り戸を取り払うと、外からの光がぐっと奥まで入って改善されそうですね。
また腰壁にある収納扉をなくして、ハイチェアを並べるという案も使い勝手が良くなりそうです。
そんなにあちこち収納失くして大丈夫?と心配になる気持ちはわかります。
でもこれだけ収納がたくさんあるのでどうぞご安心を。
ダイニングと繋がる和室は陽当たり良好。
優雅な別荘風のお部屋とは外でこんなふうに繋がっているようです。
開放的で気持ちが良さそうなので、ここをダイニングにするという案もアリですね。
これから夏になったらきっと。
ひぐらしの鳴く声が遠くから聞こえて、出窓に置いた蚊取り線香が煙をくゆらせる情緒的な瞬間がやってきそうです。
なんとなくけだるい夕暮れ時。
寝ころんだまま、両足を外に放り出してだらだらと過ごしたい。
ところで話は少し逸れますが。
ちょっと気になるのはこの網戸模様なんですよね。
どこかで見たことがある気がしませんか。
そう、某バンドのギタリスト、黒地に白の幾何学模様であるあの柄です。
本物ではないにしろ、個性の主張が強すぎる出会いにこれはなにかのメッセージかと勘ぐってしまうのでした。
和室つながりで、もうひと部屋をのぞいてみましょう。
雨染みなど少し年季が入ったようにみえる畳室。
土地が開けているからか、差し込む光がまぶしいくらいです。
とはいえ。
べろべろの襖が気になりますよね。ええ、ええ、私もです。
理由があるのですが、前の家主さんがペットを飼われていたそうなんです。
これだけ広い間取りですし、楽しさゆえに自由にはしゃいだ日もあったのでしょうねぇ。
お次は2階へ行きましょう。
階段からの眺め、なんだかいいとこのお坊ちゃまみたいな気分になってきちゃうなあ。
2階の間取りはお部屋がふたつ。
パーケット柄の床はお揃いで、天井と壁のクロスや巾木が少しずつ違う仕様です。
1階の間取りを考慮しても部屋数が多く広いお家。
2階はそのまま季節ものの保管室として使うか、お子様のプレイルームや趣味部屋にも良いかもしれません。
それぞれのお部屋には造り付けの収納スペースがあるのですが、ただの収納と侮るなかれ。
実は一部がこんなふうにシェア仕様なんです!
隣の部屋の様子がまるっと筒抜け。
なんて斬新で粋な空間活用のアイデア……素直に感心させられました。
もちろん壁をつけてきちんとプライベートスペースを確保するのもマルですね。
ここまで見てきたところで。
お風呂やお手洗いといった水周りのことも気になりますよね。
個人的な期待度はかなり高まっていますが、いかがなものか。
わあ、お花があちこちに。
ハイビスカスのお花柄タイルに、ステンレスの浴槽もお花です。
お風呂の栓のチェーンの長さからわかるように、このタイプの浴槽は床より深いんですよね。懐かしい。
オレンジ×ブラウンの配色も良い。
角の△はシャンプー用の棚でしょうか。
脱衣室から見た浴室。
天井は翡翠色、床はネイビーブルーの丸タイルで揃えてありますよ。
壁は薄いピンクのお花柄クロスとビタミンカラーのお花柄タイル。お花が満開。
型板ガラスは「夜空」の模様と、上部の左右(写真2枚目)には「古都」があてがわれています。
脱衣室側は「銀河」でした。
きっと家主さんのなかで“街の夜空”というようなテーマがあったに違いない。
浴室のお隣はお手洗い。
ここのタイㇽ、とってもモダンでたまらん可愛さ!
北欧や東欧などで描かれていそうなパステルカラーの点描です。
洗面台はぽってり丸いフォルムの、角付き手洗い器。
それに蛇口は衛生水栓タイプときました!!
吐水口の下にハンドルがあるんですが、学校や公園の公共施設やいわゆる米軍ハウスで見かける「逆カラン」と呼ばれるものですね。
貴重な水栓、出会えてうれしい!
大理石風の巾木やモロッコ調タイル、この玄関あたりから薄々感じていたけれど。
型板ガラスの種類の豊富さ、照明やクロスのデザイン性も、ここまでのこだわりはそういう好みや意識がないと形にならない気がします。
【1階】
【2階】
聞けばこれまで3回の増築とリフォームを繰り返してきた過去があるとのこと。
家づくりを謳歌してきたことがこの間取り図からも見えてくるようですし、きっとその先の暮らしもその人らしい時間を積み重ねてきたお住まいだと思うんです。
そんなお家を引き継いだ暁には。
自分たちも好きなように、のびのびと、暮らし快適化計画を立てられそうな気がしてきませんか。
部屋数の多さや広さをどうしようかと考えあぐねる方もいらっしゃるかもしれませんが、残すところ変えるところ、メリハリさえつけていけば。
懐かしさも新しさもある、そんなお家が叶いそうです。