「ことわざ “ことのはじまりはここから”」は、I.D.Worksの新社屋への移転に伴う、移転地の歴史や文脈リサーチを共有するイベントです。
移転計画を進めるなかで、土地の歴史や地域の文脈を調査すると様々な“暮らしぶり”に気づかされました。
そのため当日は解体着工前の建物、写真・資料・映像などの展示を主にしたプログラムで構成しています。
新社屋予定地となる黄金町と鰐石町の歴史やそこに住む住民の視線などを通して、新たな視座や価値観、哲学、可能性を見出しながら、これからの暮らしや地域における役割を考える機会にできればと願っています。
何を残して、どのように活かすのか……また、なぜ残すのかということ。
譲り渡し受け継ぐ行為の中で、私たちは何を大切にしていくのでしょう。
■コンセプト
鰐石町/黄金町という地域で自然と受け継がれてきた有形無形の事柄や価値を丹念に掘り下げ、その土地の生活者、通り過ぎていく通行人また旅人など、人や物の出入り、時間の流れ、営まれてきた生活を改めて見つめ直したい。そしてその気づきを世代や立場の違いを超えて共有し、学び合い、次の世代へと伝えていくことを願って企画しました。
当日のプログラムでは、生活者が語るこの土地についての言い伝えを聞き、その移り変わりを体験し、変化に関わってきた方々の実体験と思い出を主軸としています。
また写真、映像、資料展示、また置き座と呼ばれるすずみ台の再現、出店などを通してこの地域の「ことわざ」を探求します。
■プロジェクトのプログラムについて
い_「ことわざから見えるもの」:のれんプロジェクト(のれん)
ろ_「追憶」:置き座プロジェクト(置き座)
は_「理想」:松の盆栽(盆栽)
に_「新たな眼差し:写真の写真展(写真)
ほ_「風の便り…」:風鈴(風鈴)
へ_「意匠の温もり」:I.D.Works Library(アーカイブ資料、映像、模型、パネル)
と_「建物の移り変わり」:この土地の建築の歴史(図表資料)
ち_「時とともに…」:リノベーション・プロジェクト・プラン(建築プラン)
り_「この土地の変貌」:古地図(資料展示)
ぬ_「譲り渡し受け継ぐこと」:鉢の植え替え(盆栽)
る_「ことのはじまりはここから」:フィルム上映(映像)
を_「琴技」:レコードの部屋(レコード鑑賞)
またこの度のプロジェクトは、アート・ディレクターに現代美術作家の鈴木啓二朗さんとコラボレーションした企画になります。
当日のあらゆるプロダクトや制作物、しつらいからその色を感じていただけたら嬉しいです。
▼鈴木啓二朗さんのご紹介です
Contemporary Art :KEIJIRO SUZUKI / 鈴木啓二朗
歴史として記録に残ってこなかった事実やあまり知られていない既存の事実などを掘り起こし、人類学的なアプローチや文学的なリファレンスなどを通して、文化的な多様性へ視線や世界観をコンセプチュアルに解釈し探求する作品制作を行う。「事実」と「記録」、または、「虚構」の間に出現する意味合いをさまざまな手法で発表している。
また、フィールドワークなどで収集したオブジェ、写真、物語に対し、それぞれが象徴する意味を視覚的、または観念的に解釈し、その結果出現してくる特殊な意味の関係性を「視覚的修辞法」として作品制作を展開。
https://www.keijirosuzuki.com/